鳥居シリーズ

変わった鳥居【関西編】

今回は変わった鳥居【関西編】です。
それではいってみましょう。

笠木が波打つ独特な意匠 石切劔箭神社


大阪府東大阪市に鎮座する石切劔箭(いしきりつるぎや)神社です。
神道石切教の神社で、延喜式内社に比定されています。

天磐船で天降った天神、饒速日命とその子可美真手(ウマシマデ)命が御祭神です。

社伝では神武天皇2(紀元前659)年に可美真手命が父饒速日命を奉斎したのを神社の起源としていて、2600年以上の歴史を誇る神社です。

「でんぼ(腫物)の神様」として石切さんのお百度詣りが有名です。

大鳥居は笠木上部が大きく波打った独特の形状です。

楔と大注連縄が特徴的 廣田神社


兵庫県西宮市に鎮座する廣田神社の大注連縄を伴う鳥居。二の鳥居の後方に位置しています。
廣田神社は二十二社の一社で旧旧官幣大社にて兵庫県第一の神社です。
日本書紀に神功皇后による創建が記されている古社で天照大神荒魂をお祀りしています。

この鳥居は石柱に貫のみのシンプルな形ですが、楔(くさび)が打ってあるのは珍しいです。

ぶらさがっている廣田神社の大注連縄も全国稀に見る形です。
青森でよくみられるジャンバラにも似ている気もしますが恐らく魔除け祓いの役を持つと思われます。

間空き鳥居「出世門」

鳥居の真ん中がぽっかり切れている不思議な稲荷鳥居です。

京都市伏見区伏見稲荷大社の西側のお塚が立ち並ぶエリアの入り口に笠木や島木、貫が途中で途切れている鳥居。

「上が開けている」「上に邪魔するものがない」ことから「出世門」ともいわれています。

笠木が社号標を兼ねている? 安居神社


大阪市天王寺区に鎮座する安居神社です。
西参道から車道に面する箇所に石鳥居があります。
笠木と島木の一体型で社名が大きく掘られ、社号標と鳥居を兼任しているかのような出で立ちです。

安居天満宮とも呼ばれ、真田信繁(幸村)が討ち死にした地として有名です。
創建年代は不詳で元々は少彦名神を祀る天神社でしたが、道真公死から約40年後の942年に道真公が祀られるようになったと伝わります。

反り増しの深さは決断力と行動力 姫嶋神社


「やりなおし神社」とも呼ばれる大阪府西淀川区に鎮座する姫嶋神社

御祭神の阿迦留姫(あかるひめ)命は「行動と決断の神様」としてお祀りし信仰されています。
創建は不詳ですが、『摂津風土記』に阿迦留姫命が新羅より逃れて来た比売島松原をこの地とする説があります。

姫嶋神社の鳥居ですが、笠木が大きく反り立っていて直線の面がありません。
扁額こそついているものの宇佐鳥居と似た意匠となっています。

しかしながらこれだけの反り増しを持つ鳥居は他にはないでしょう。

まるで東南アジアの古代遺跡 大岩神社


京都市伏見区のうっそうとした山中に鎮座するまるで古代遺跡のような大岩神社です。
大岩山の山頂付近にある大岩、小岩をご神体とする自然崇拝を残したお社です。
由緒は不詳で廃墟のような風貌になっているため廃神社ともいわれていますが、大岩山の北向にある稲荷山との関連性もあることでしょう。

東南アジアの古代遺跡のようなレリーフが埋め込まれている鳥居ですが、昭和37年に京都出身の日本画家、堂本印象による寄進のものです。
毘沙門天や地蔵菩薩が彫られています。

そんな大岩山ですが、近年山頂付近のソーラーパネル開発や違法盛り土などで土砂災害が起きています。
幸い死傷者等はでていないようですが、熱海の土砂災害のようにならないことを祈るばかりです。

おわりに

関西の変わった鳥居は信仰に基づく意味や由来がある鳥居が多く感じました。